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ヤマトヌマエビの繁殖について(2005.7.31)
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1. はじめに
2. 雌雄をそろえよう
3. 繁殖行動
4. 飼育水(汽水)の準備
5. 抱卵〜発眼・隔離
6. ゾエア放出・脱卵

7. 餌について
8. ゾエアの成長・着底(変態)
9. 淡水化
10. その他
11. 小道具

1. はじめに

 私は最初にヤマトヌマエビを繁殖しようと思った時、熱帯魚SHOPの店員の方に質問したのですが「無理です。」と言われました。 最近でもヤマトヌマエビの繁殖については「非常に難しい。」「チャレンジしたけどやっぱり全滅。」という記事をよく見かけます。 確かに繁殖には汽水が必要となるし、着底するまでの幼生期は☆になりやすいです。 しかし抱卵する回数も孵化する数もめちゃくちゃ多いし、それなりの繁殖方法が見つかれば、そんなに難易度は高くないかも?と思ったりもします。 私自身は色々試しながら、HPを立ち上げてから稚エビを見る事が出来るまで、結構な時間がかかっておりますが・・・ 決して簡単とは言いませんが有名なつ田さんのHP「えびみち」にある繁殖マニュアルをはじめ、web上で紹介されている繁殖方法を参考にして、繁殖チャレンジ1回目で成功してしまう方も沢山いらっしゃると思います。 頭から難しいとかダメだと思わず、チャレンジしてみれば意外と成功しちゃうかも!?

 ここで紹介する繁殖方法は、私が現時点(2005/7/31)でやっている繁殖方法を中心に紹介します。 まだまだ稚エビまで育った数は少なく、沢山の稚エビを見る為には試行錯誤が必要な状態ですが・・・(-_-;) ヤマトヌマエビの繁殖方法は、いろいろあると思います。 ゾエア幼生に与える餌、飼育水の水質管理方法、塩分濃度などなど、繁殖に成功されている方々はそれぞれ独自の方法で幼生から稚エビに変態するまで飼育する事に成功されています。 飼育水(汽水)の種水にしても、元々ヤマトヌマエビを飼育されている水槽から使用する方が多いと思いますが、その飼育水にしてもphや硬度、バクテリアや微生物の量、生体・水草の量、照明の照射時間など千差万別。 誰一人同じ環境でヤマトヌマエビの飼育・繁殖に臨んでいるわけではありません。 ここで私が紹介している繁殖方法は誰もが必ず成功するものではありません。 ですが繁殖成功へのポイントは沢山あると思いますので、参考にしながらご自身でよりよい繁殖方法を考えてみて下さい。
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2. 雄雌をそろえよう

 ヤマトヌマエビの雌雄の判別は、国内の淡水ヌマエビの中では一番簡単だと思います。 しかしホームセンターならまだしも専門SHOPの店員が知らなかった事もありました。 繁殖を狙ってヤマトヌマエビを購入される方は、雌雄の違いを知り自ら選んで購入するのがよいでしょう。 購入時何も言わなければ、店員の方は雌雄を見ずに水槽から取り出します。 過去には、10匹買ったうちの9匹が雄だった事もありました(・ε・`*)  ちなみに水槽の大きさに対するヤマトヌマエビの数ですが、苔対策にしても繁殖を狙うにしても60cm水槽であれば10匹いれば十分です。 うちは今雄8の雌5の13匹ですが、抱卵しすぎてすべてのゾエア飼育できる環境がありません(T-T)

 選ぶ時はまず雌雄共通して、以下の2点に注意しましょう。

 @ 白く体が濁っている個体は、弱っている可能性がある。
 A じっと影で動かなかったり、動きに元気がない個体も避けた方が良い。

 そして雌雄の判別ですが、3cm未満の未成熟の個体での判別は難しいので、3cm以上の個体を判別する対象とします。

ヤマトヌマエビ 雄

ヤマトヌマエビ 雌
 わかりやすい雌雄判別のポイントは以下の3点。
@ 体側の模様。 オスは点線状、メスは破線状になっています。 オスの模様はすべて綺麗な点であるのに対し、メスには「-・-・-・-」「---」の様に破線の模様が混ざっています。これがヤマトヌマエビの雌雄の一番わかり易い特徴であると思います。

A 卵巣の有無。 卵巣は頭の後ろにあります。繁殖期がくると、どんどん太くなり背中一面に広がります。 繁殖期であれば抱卵直後でない限り、見えにくい事も無いと思います。 肉眼ではっきり確認出来るので、これもわかりやすい判別方法と思います。

B 体の大きさ。 成体で雄の大きいものは体長3cm、雌の大きいものは体長5cmです。 4cm以上の個体であれば間違いなく雌でしょう。 また雌は体長だけでなく体高もあります。雄がスリムな印象に比べて雌はずんぐりと太い感じで、特にお腹のあたりは卵を抱える為に張り出していています。
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3. 繁殖行動

 成熟したメスは
繁殖時期(自然界では水温の上がる春〜秋にかけて。水槽内では水温20℃以上に設定していれば年中)になると、卵巣が発達してきます(写真@)。 そのメスが脱皮すると性フェロモンがだされ、オス達がそのメスをめぐって追いかけ回り、交接します(写真A)。 その後、雌は腹部に卵を抱えるように産卵=抱卵(写真B)。 抱卵した後の卵巣はスッキリ。


(写真@)

(写真A)

(写真B)
 抱える卵の数は母エビの大きさや飼育環境によって変わってくると思います。 母エビに与えている餌によっても変わってくるでしょう。 高カロリーの人工飼料を毎日与えている場合と、人工飼料を与えず苔や浮泥・流木等を餌にしている場合とでは当然違うと思います。 ちなみに私は気が向いたときだけプレコタブレットを1/4に割り、各個体に与えておりますが、基本的にはほとんど餌は入れていないので後者に近いですね。 その環境では4cm程の個体で抱える卵は500〜1500ぐらいでしょうか? 自然界では2000以上の卵を抱えていると思います。
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4. 飼育水(汽水)の準備

 抱卵してから孵化が始まるまで、大体3〜4週間かかります。 しかし大量孵化に先立って、数匹のゾエアがもっと早く生まれてくる事もあります。 最短で抱卵から12日目で、数匹のゾエアが孵化していました。 

 孵化当日に作った飼育水(汽水)でもわずかに稚エビまで成長しましたが、私の場合は着底するまで換水はしないので、水質を維持する為、またゾエアの餌としても十分な微生物を発生させる事が必要だと思っています。 
飼育水(汽水)は抱卵よりも前(できれば1ヶ月以上前)に作っておく事がベター。 

◎汽水の作り方
 汽水の作り方ですが、今のところ
海水の70%が一番いいというのが定説のようです。 自分もその濃度でしか試していないので、違う塩分濃度だとどうなるのかはわかりませんが、海水の50%程度でも、稚エビまで育成する事はできるようです。 汽水を作る為の塩分は、私は市販の海水の素を使用しております。 海が近い方は、是非天然海水を汲みにいきましょう。 その方がお金もかからないし、何より自然界での環境に近づける事ができます^^ ただし天然海水を使用する場合は、一度濾してゴミや海水の生物が混ざらないようにしましょう。 調味料として売られている天然塩や精製塩では、海の水を再現出来ません。 それらを使って繁殖を試された方がいらっしゃるようですが、いい結果は出ていない様子です。

・一緒に入れるもの
 海水の素に使う水・天然海水を薄める水は、親水槽(ヤマトヌマエビを飼育している水槽)の水を使いましょう。 バクテリアやその他の微生物が含まれる水を使うことによって、早くいい飼育水(汽水)が出来ます。 この時、
浮泥を入れる事をお勧めします。 浮泥には多くの微生物が含まれており、水作りに大きく貢献してくれます。 またゾエアの餌としても有効なので、入れない手はないでしょう。 ウィローモスなどのモス類も一緒に入れておくと、バクテリアの棲家にもなりますし、水流の抑制効果もあります。 

・水槽
 水槽は大きめの方が飼育水が安定すると思いますが、観察しにくくなります。 逆に小さすぎると飼育水の水質が落ちるスピードが速く、換水することが必要になるでしょう。 ピーシーズの本によると
飼育水1Lに対して飼育可能なゾエアの数は20〜40匹だそうです。 これは最近知った事で、今まで私はもっと多くのゾエアを入れていました(T-T)  理由ははっきりと明記されておりませんでしたが、これ以上の数だと水質の汚れるスピードが速くなるとか、酸素の消費量・餌の消費量がゾエアの生存率に大きく影響するといった事があるかもしれません。 ただしこれはひとつの目安で、それぞれ飼育方法(換水するしないとか、餌の種類とか)によってもかなり違うと思いますので参考程度に考えてください。 

・フィルター
 私はテトラのスポンジフィルターを使用しています。 大きな水流が出来たり、ゾエアを吸ってしまうようなものは、好ましくないでしょう。 

・エアレーション
 エアーは必ず入れてあげましょう。 元々
エビは酸欠に弱い生き物。 その幼生ですから酸素不足は即、死につながります。 あまり水流ができないようにエアーを入れるようにしましょう。 エアーを調節出来ない場合はモスを多目に入れて水流を潰す等の工夫が必要です。

・照明
 ゾエアを入れる前は苔の類や微生物を発生させる為、1灯24時間つけっぱなし。 ゾエアを入れてからはリフトアップして、親水槽と同じ9:00〜19:00の10時間タイマーで制御。 リフトアップは夏場では水温対策の為でもあるが、一番の目的は走光性を弱める為。

(飼育水槽)

 上の写真は、立ち上げたばかりの家の水槽。 12L水槽だとモスは余程多く入れないと、沈んで水流を防ぐ事ができないので、フィルターの水流は真上に抜けるように、排水パイプを取り除いています。 これで水流が水面で潰れて、水槽内に大きな流れは出来ません。

浮遊生活を送るゾエアが、出来るだけ自由に餌を食べられる環境を考えてみましょう^^ それが繁殖成功への鍵だと思います!
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5. 抱卵〜発眼・隔離

(発眼)
 抱卵してから卵がだんだんと成長して眼が見えるようになれば、これを発眼といいます。 抱卵してから発眼するまでは水温にもよりますが、早ければ1週間ぐらいで確認した事もありますが、通常は2週間ぐらいでしょうか。 発眼は肉眼でもわかるので、目を凝らしてよく観察しましょう。 隔離する時期や、孵化日の予測の目安になるので、いつ発眼したかは結構重要だと思います。 
◎隔離
 ヤマトヌマエビを飼育している環境で孵化してしまうとゾエア幼生の回収が困難になる為(大きな水槽であったり、底砂が敷かれているとゾエアが見つけにくい)、孵化する前に母エビを隔離する必要があります。 今のところ隔離に関しては、自信ありません><; と言いますのは、今まで経験したほとんどのケースは
脱卵しているのです。 脱卵しても卵にエアレーションをかける事によって、孵化を促す事も出来るのですが、カビてくる卵や孵化後すぐ死ぬゾエアも沢山でてきます。 特に卵が未熟な段階で脱卵してしまうと、孵化するゾエアの数はかなり少なくなってしまいます。 本来脱卵とは、母エビがなんらかの異常を感じた時に脱卵するようです。 正常な孵化は母エビのお腹から一斉に孵るようなのですが、私はなかなかうまくいっていません(゚-゚;) 大抵の場合、多くのゾエアが放出されても半数以上の卵は落とされて、エアレーションをかけて孵化させています。 水温が高くなければ落ちた卵の7割程はうまく孵化させる事が出来ます。

・隔離時期
 卵がしっかり発達してから隔離するのもよいかと思いますが、見極めが難しいのと、うっかり孵化が始まってしまった・・・ なんて事にもなりかねないので、発眼が確認できれば隔離していいと思います。 月齢を意識して隔離する事もありますが、必ずしも大潮にゾエアを放出するわけではありません。 確かに月の力が自然に及ぼす影響は少なからずあると思いますが、自然界でも100%大潮の日にゾエアが放出されているわけではないと思います。 発眼した日がはっきりわかっていて丁度2週間後が大潮という場合などは、大潮の前日で隔離しています。

・隔離水槽
 私は2L水槽にミニスポンジフィルターと小さめの流木を入れ、その中に隔離しています(写真@)。 水は親エビを飼育している水槽のものを使用。 これで2〜3週間隔離する事になっても大丈夫なのですが、ミニスポンジフィルターは気休めですので、毎日糞を取り除き少量の換水をしています(ヤマトヌマエビの糞の量は1匹でもすごいです!)。 餌は流木を入れているだけでOKなのですが、隔離が長引いた時は流木だけでは可愛そうなので、プレコタブレットを割って与えたりしてます(この場合食べ残しがあれば必ず回収)。

(写真@)

 隔離した時、一番注意しなければいけないのは、
脱走経路を確実に塞いでおく事。 蓋のある水槽がベストですが、そうでなければ脱走しそうな場所は全て塞いでおかなくてはなりません。 ヤマトヌマエビの遡上能力は非常に高いです。 エアチューブなんかもサクサクを登ってしまうので、エアチューブまわりの隙間は特に注意です。

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6. ゾエア放出・脱卵

 ゾエアが放出されると1〜2日以内で汽水に移さなければ、ゾエアは死んでしまいます。 汽水に移す際は慣らす必要はありません。 スポイトで吸い取って、そのまま作っておいた汽水水槽に移しましょう。 ゾエア幼生は走光性という光に集まる習性を持っています。 回収する時はこの走光性を利用して、光を使ってゾエアを集めましょう。 私は水槽の側面から蛍光灯を当て、集まったところをスポスポと吸い取っています。

◎脱卵
  脱卵した場合は水槽内に入れている物(流木やフィルターなど)を取り除き、エアレーションをかけて孵化を促します。 卵の発達具合や水温によりますが、私の経験では2割からうまくいけば7割方孵化させることが出来ました。 脱卵した卵は、5〜10日程かけて孵化していきます。 特に脱卵してからの3日間は多くの卵から孵化しますので、こまめに観察してゾエアを回収しましょう。 
卵をエアレーションしている水槽の水は毎日全換水。 孵化した後の殻や、卵を繋ぎとめていた繊維状の物質、死んでしまった卵やゾエアなどで、水の汚れは激しいです。 換水する時、残っている卵を一粒残らずスポイトで回収していくのですが、非常に時間のかかる作業です>< 

(脱卵)
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7. 餌について

 生まれたばかりのゾエア幼生の大きさは1mm強。 この小さな生き物は何を食べているのでしょうか? 自然界ではゾエアよりも小さい動物プランクトンや植物プランクトンなどの微小生物です。 

 植物プランクトンが豊富な
グリーンウォーターもしくは動物性プランクトン群のインフゾリアが餌として適しているのではないかと思っています。 ゾエア幼生は浮遊生活を送りますが、孵化直後のゾエアでもガラス面に近寄ったり、底に降りたりするぐらいの遊泳力はあります。 しかし走光性により動きが制限されていたり、制限が無くともずっと浮遊しているゾエアを見かけます。 水中に漂うプランクトンがゾエアにとって、いつでも食べ易い餌になるのではないかと考えています。 

・茶ゴケや藻類
 汽水水槽に強い光を当て続けて(2週間〜1ヶ月以上)、ガラス面に発生させた茶ゴケや藻類。 実際には顕微鏡で確認したわけではないので、どういった種類のものなのかはわかりません。 しかし孵化翌日のゾエア達でもガシガシとかじりついていました。 ゾエアの主食とするにはちょっと弱いかもしれませんが、有効な餌だと思います。

・インフゾリア
 Part2の日記でインフゾリアを餌として使用しました。 インフゾリアとはゾウリムシ、ワムシ、ミドリムシ、ミズケムシ、ミジンコなどの動物性の単細胞微生物の総称で、もやもやとした白い物の中に肉眼ではなんとか見える程度の白い微生物が蠢いていたり、水中を漂っていたりしていました。 実際に捕食した瞬間は見たことがないのですが、殖えたり減ったりしていました。 インフゾリアを餌にしていた時のゾエアの生存率は非常に高く、孵化後2週間経った時点で孵化数の約1/3が生存しておりました(約600匹孵化のうち217匹生存確認)。 残念ながら福岡西方沖地震の直後ゾエアが激減し、Part2は失敗に終ったのですが、途中経過は過去で一番よかっただけにもう一度使いたいと思っています。 インフゾリアは下水処理場でも使用されており、水質を浄化する能力(有機物を分解する)があります。 餌として非常に有効で、なおかつ水質の維持に貢献するインフゾリア。 前回は偶然発生していたものを使っていたので、現在インフゾリアの沸かし方は研究中です><

・浮泥
 分解過程にある植物の破片などの有機物。 浮泥を分解する(食べる)微生物も多く含まれ、ゾエアはよく食べています。 ただ沈殿するものなので、浮遊生活を送り遊泳力の弱い初期ゾエアが自由に食べれるというものではないと考えています。 また攪拌しても数分で沈殿してしまうし、一日に何回も攪拌できるわけでもないので、私は攪拌していません。 初期ゾエアにとっては少々食べにくいものかもしれませんが、飼育水を作る際にも有効と考えているので、最近は必ず使用するようにしています。 ゾエア後期に入りゾエアが体に赤みを帯びだすと、一日中浮泥を食べるようになります。

・グリーンウォーター
 これが一番適している餌だと思っています。 実際にゾエアの餌となるものは発生するプランクトンの種類よって違うみたいなのですが、水中に満遍なく浮遊するプランクトンはゾエアにとって食べ易い餌だと思います。 グリーンウォーターを使用して繁殖に成功したという記事もいくつか見かけます。 よく陽の当たる場所に飼育水を置いておくと1〜2週間出来るはずなのですが・・・ 自宅のマンションではなかなか日が入りにくく作れておりません(T-T) こちらも作り方を研究しなくては><

・人工飼料
 ヤマトヌマエビのゾエアは比較的よく人工飼料も食べるようなのですが、飼育水を激しく汚してしまう為ほとんど使用した事がありません。 極少量ずつ与えても食べ残しがでるので、こまめに(毎日)換水出来る方でなければ仕様しない方がいいでしょう。 

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8. ゾエアの成長・着底(変態)

 ゾエア幼生は9期の幼生期を経て、だいたい30〜45日ぐらいで稚エビに変態します。

 孵化から2週間程がゾエア幼生にとって死ぬ確率が非常に高い時期です。 体調が1〜2mm程度で水質の影響も受け易く、遊泳力も弱いので餌にありつけなかったり、酸欠で死んでしまったり・・・ ヤマトの繁殖に挑戦した事のある多くの方が、この2週間以内で全滅した経験があるのではないでしょうか? 

 

 2週間を越え4〜5回脱皮すると体長は2〜3mm。 だんたんと体に赤みを帯びて遊泳力は格段にあがり、底にある浮泥などをしっかり食べるようになります。 体長が4mmを超えると着底の期待感が高まります!

 

・着底
 浮遊生活を送っていたゾエアが9回の脱皮を経て親と同じエビの形に変態し、底に脚をつけて生活するようになります。 初めて着底した稚エビを見た時は、本当に感動しました(T-T) 

(稚エビ)
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9. 淡水化

 淡水化する際、だんだんと淡水を混ぜて慣らしていく方もいらっしゃいますが、ゾエアを汽水に移す際に慣らす必要がいらないのと同様、淡水化の際にも慣らす必要はないようです。 私は汽水からスポイトで稚エビを取り出し、そのまま淡水に移しています。 着底している数がまだまだ少ないのですが、今のところ淡水にそのまま移した稚エビはすべて問題なく育っています。 

 私の場合、孵化する日に結構なばらつきがあるケースが多く(脱卵が多いので)、着底するタイミングもかなり日にちのズレがあります。 なので水槽ごと淡水を足しながら淡水化する方法は、やりにくいのです・・・ 変態したエビはすぐに淡水に移さなくても大丈夫なのですが、なかなか変態しないゾエアがいるといつ淡水化しようかとやきもきしてしまって><;  淡水にそのまま移す方法だと、見つけ次第淡水にいれるだけなので簡単^^

 着底したばかりの稚エビは姿こそ親エビと同じですが、大きさはまだ5mm程度。 いきなり親のいる大きな水槽に入れるとあっという間に何処にいるかわからなくなりますし、混泳水槽なら食べてしまう魚がいるかもしれません(ひょっとすると親エビがたべちゃうかも?)。 なので大きさが1〜1.5cmぐらいになるまでは、小さめのプラケで飼育するのがいいでしょう。 この際注意しなければいけないのは、
稚エビは遡上する性質が強いので脱走経路を作らないこと。 私はエアチューブが怖いのでエアレーションせず、水草を多目に入れて酸素不足にならないようにしています。 また稚エビといえどもヤマトヌマエビ。 大喰いなので、その分大量の糞をします。 糞の処理と水換えをこまめに行ってあげましょう。

追記(2005/9/23)
 着底したばかりの稚エビをすぐに淡水に移し換えるのは、危険な場合があるようです。 8/18の繁殖日記で、まだ着底して間もなかったと思われる稚エビを淡水に入れた際、☆になりかけたという事がありました。 特に体にまだ赤みが残っているような稚エビは、着底から時間があまり経っていないと思うので注意が必要。

 着底後、すぐに淡水に移さずとも稚エビは脱皮し成長する事ができるので、着底から1週間〜2週間以上経ってから淡水に移したほうがいいでしょう。 
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10. その他

・走光性について
 ゾエアは光に集まる習性を持っています。 この性質自体は何も悪い事ではないのですが、走光性が強く働く環境だとゾエアの動きを制限し、餌を食べる行動に対して悪い影響があるような気がしています。 餌が水中に浮遊しているグリーンウォーターやインフゾリアを使用している場合は、ゾエアが何処にいようと餌を食べれる環境にあるので、走光性による悪い影響はないと思います。 しかしガラス面の付着物や沈殿する浮泥等を餌にしている場合は、ゾエアはガラス面や底まで泳いでいかなくてはなりません。 この時に走光性が強く働いていると動きが制限され、常に餌に辿り着ける状態でないゾエアがでてきます。

 走光性の影響はいろいろなケースが考えられるので説明しずらいのですが、昼間もしくは夜間に観察した時に、いつも同じ場所にゾエアが沢山集まってしまっている状態であれば、何か対策を考えた方がいいかもしれません。 



・水温の影響
 親エビは水温が20℃以下だと抱卵しにくい様です。 うちは室内飼育でヒーターを使用していないので、冬場で寒い時は水温が15℃ぐらいまで下がります。 飼育するだけなら10℃以下でも問題ありませんが、冬場で繁殖を狙う場合はヒーターを使用しなければならないでしょう。 逆にずっとヒーターを使用していて25℃ぐらいを保っている方は、1年中抱卵します。

 夏場は、水温対策を行わなければ30℃を越えてしまう水槽が多いのではないかと思います。 親エビでも30℃は耐える事は出来ますが、危険な状態であると思います。 といいつつ・・・うちの水槽(2005/7/30現在)は30〜32℃で推移しておりますが・・・ 1匹も☆なる事もなく繁殖行動もバンバン行われております^^; ですが本来ヤマトヌマエビは水温の上がりにくい渓流域に生息し、高温にはあまり強くないはずです。 自然界で水温30℃以上の環境で生息しているヤマトヌマエビはいないんじゃないだろうか? 親エビの飼育環境は28℃以下が好ましいと思います。

 ゾエア幼生の飼育水もやはり30℃以上は厳しい環境だと思いますが、こちらも30℃前後でも飼育していたり・・・^^; とりあえずゾエアでも30℃になったら必ず死んでしまう状態ではありませんが、好ましくない環境だと思います。 こちらもできるだけ水温対策を行い、28℃以下で飼育するのがいいでしょう。


・水分補給
 夏場は水分が蒸発しどんどん水位が下がります。 水温対策でファンなどを使い、気化を促す事によって水温を下げている水槽などは、さらに飼育水の減りが早いでしょう。 ゾエアを育てる汽水の場合、飼育水が減っても塩分は減らない為、塩分濃度がどんどん変化(上昇)していきます。 この事がゾエアにどれだけの影響を与えているのかはわかりませんが、あまりいい事とは思っていません。 ヤマトヌマエビのゾエア幼生は海水の50%〜70%ぐらいの塩分濃度で飼育が可能のようですが、飼育している途中で塩分濃度がどんどん変化してしまうより、あまり変化しない方がいいと考えています。 仮に最初に、海水の70%の塩分濃度で飼育水を作った場合、飼育水が減っていくと塩分濃度が上昇し、ひょっとするとゾエアを飼育できる範囲外の塩分濃度になってしまうかもしれません。 その対策として随時水分を補給してあげなくてはならないのですが、急激な塩分濃度の変化を避ける為、点適法により随時補給を行っております。 この頻度はそれぞれの環境によって違ってくるので、よく観察しながら補給するようにしましょう。 ファンを使っている水槽では毎日補給しなかればならない程、水位がさがるのではないでしょうか?


・浮泥の採取方法
 ゾエアの飼育水に必要な浮泥。 浮泥とは植物の葉や根などの有機物が分解過程にあるもので、浮泥を分解する(食べる)微生物やバクテリアが沢山含まれているようです。 水槽内の底砂に溜まっているものは、まだ分解があまり進んでいない浮泥や糞が多く含まれている為、私は外部フィルターの中の浮泥を使用しています。 フィルターの中の浮泥の方が分解が進み、植物の繊維ものも肉眼で確認出来ます。 取り出す手順は簡単。 外部フィルターの水を取り出し、浮泥が沈殿するのを待ちます。 後は沈殿した浮泥をスポイトで吸出し、汽水に入れるだけ。 

(浮泥)

 上の写真は、フィルターから取り出した直後の浮泥。 水槽内の底砂から取り出すものとは明らかに違い、フンワリした感じです。 写真の浮泥の色は真上から照明が当たっているので、肉眼で見る色とだいぶ違います。 肉眼ではもっと茶色っぽく見えます。
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11. 小道具

 ヤマトヌマエビの繁殖に使っている小道具を少しご紹介。

1. 飼育水補給用PETボトル

 

500mlのPETボトルにエアチューブを接続し、エアポンプ用のクランプで水量を調節。 これで補給用の飼育水を入れるだけで、勝手に補給しておいてくれます^^ 右側が使用中の写真ですが、実際はPETボトルの上におもしになるものを何か載せなければ、補給水が減っていくにつれてバランスがくずれ、落ちてしまいます>< まだ改良の余地有りです。

2. エアチューブの二又分岐(左)・エアポンプ用クランプ(右)

 
両方とも飼育水槽のエアーの量を調節する為のものです。 飼育水槽が小さい場合は特に必要ですね。 出来るだけ水槽内に水流が出来ないようにしましょう。 エアーは弱すぎてもいけないので、他の水流を弱める工夫(水流を水面やガラス面にぶつける、パイプを使いエアーが飼育水をかき混ぜないようにするなどなど)と一緒に使うのがベター。


3. スポイト



上のスポイトは5mlのスポイトで、浮泥を吸い取る時や大量にゾエアが孵化している時に使用。 下のスポイトはパレングラスに付属されていたスポイト。 かなり小さいスポイトでゾエアを取り出すのに使用してます。 ゾエア用のスポイトは出来るだけ小さいものがいいです。 孵化数が多い時、何回もゾエアを吸い取って汽水に移すので、淡水も汽水に入ってしまいます。あまり大きなスポイトを使うと大幅に塩分濃度が変わってしまう可能性があります。 飼育水槽が小さい場合は特に小さいスポイトを使うことをおすすめします。

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